<欧州CL:オリンピアコス2-0マンチェスターU>◇決勝トーナメント1回戦◇25日◇アテネ

 日本代表MF香川真司(24)所属のマンチェスターU(イングランド)がアウェーでオリンピアコス(ギリシャ)に敗れ、敗退危機に陥った。香川は後半15分から出場したが、得点に絡むことはできなかった。モイズ監督の戦術に合わず、香川の苦悩は深まるばかりだ。

 香川は頭上を見上げるしかなかった。0-2となった後半15分、ボランチのクレバリーに代わってピッチに入った。モイズ監督の指示は「どんどんボールを受けろ」。しかし、他の選手は香川の動きを見ず、前に前にとボールを蹴りこんだ。投入されて最初にボールに触るまで約8分。ボールを受けてリズムを作り出す香川もお手上げだった。

 それでも、ボールをもったときは、輝きを見せた。唯一の決定的なチャンスは香川のスルーパスから生まれた。ウェルベックのクロスを中央でトラップしたファンペルシーがまさかのシュートミス。香川も頭を抱えた。

 「パスを受ければ、必ず好機をつくれる自信があった」と香川は話した。公式戦6試合ぶりの出場だったが、出番が来ない中、黙々と練習を続けチャンスを待っていた。前半こそ体調不良もあったが、香川が結果を出せないのは、香川自身のパフォーマンスの問題だけではない。

 この日の試合のように、香川が試合に出ても、香川にパスが集まらない。対戦相手の監督から「戦術がシンプルすぎる」と言われるように、モイズ監督になってチームの攻撃は単調なロングパスが多くなった。早めにサイドに展開しクロスを放り込む戦術では、細かいパスでアクセントをつける香川の持ち味は生きない。「起用は監督が決めること。限られたチャンスで結果を残さなくては」と言った後「毎日毎日やるしかないし、急激に変わることはない。地道にやっていきたい」と香川は自分に言い聞かせるように言葉を絞り出した。