[ 2014年2月13日9時16分

 紙面から ]左から小笠原、船山、苫米地、吉田は、笑顔で観客席に勝利の報告(撮影・PNP)<ソチ五輪:カーリング:日本8-4ロシア>◇女子1次リーグ◇12日

 「カーママ」小笠原歩(35=北海道銀行)が率いる日本が全開モードに入ってきた。1次リーグ3戦目でロシアと対戦。カーリングでは珍しい相手の大歓声がうずまく中で、完勝でアウェーを克服した。インフルエンザで離脱したセカンド小野寺佳歩(22)の代役の吉田知那美(22)がデンマーク戦に続き、堅実なプレーでチームの連勝に貢献。対戦成績は2勝1敗と勝ち越した。

 地元ロシアへの大歓声が心地いい。インフルエンザで離脱したセカンド小野寺の代役セカンド吉田は開始からロシアコールに合わせて体を揺らした。サード船山から「チータン(吉田)応援されてるよ」と言われ、よく聞いてみると「ロシア」が「ヨシダ」に聞こえてきた。ロシアから力をもらったような気がした。

 アウェーを苦にしない日本は第2エンドに2点を先制する。第4エンドに追いつかれ、第5エンドに勝ち越して迎えた第6エンド。不利な先攻だったが、相手のショットが弱くなり、スチールに成功。第7エンドも連続スチールで3点差にリードを広げ、試合のペースを完全につかんだ。

 「インフルショック」は完全に吹き飛ばした。平熱に下がった小野寺は、エンドごとに無料通信アプリLINE(ライン)で励ましのメッセージを送る。「一緒に戦っている」と船山は言う。小野寺の代役の吉田は、正確性を表すショット率はチーム1番の88%をマーク。2試合を経験し「落ち着いて会場を見渡す余裕があった」と「ヨシダコール」とともにアウェーを完全に味方にした。

 もともとは1試合も出る予定のなかったリザーブ。昨年11月に宣告されたときは、ショックだった。泣いてばかりいたが、地元、所属の人たちから「あなたにしかできない仕事がある」と励まされた。以来チームの力になるためリード、セカンド、サード、スキップとオールラウンドな力を磨いた。インフルの災いからとはいえ、吉田の努力を神様はしっかりと見ていた。

 初戦黒星でどうなるかと思いきや、地元ロシアを破って2勝1敗の勝ち越し。小笠原は吉田のプレーに対して「自分の仕事をしっかりしてくれた」と合格点を与えた。チームの危機は、カーママ中心に全員で乗り切った。