[ 2014年1月31日11時19分

 紙面から ]メッセージ入りの日の丸を贈られたスケルトン代表の小室(左)とボブスレー代表黒岩

 今度こそ滑る-。ソチ五輪スケルトン代表小室希(のぞみ、28=仙台大職)の壮行会が30日、仙台大で行われた。小室は前回バンクーバー五輪に出場も、規定のステッカーをはがしていたことがレース直前に判明し、失格に。どん底から立ち直り迎える2度目の五輪で、6位入賞を狙う。

 あの悪夢から4年。小室は壮行会に集まった約300人の前で素直な心情を語った。「バンクーバーの後、気持ちを閉ざしてしまった時期があった。また舞台に立てるのはみなさんに支えられてきたから。今度こそ私の最高の滑りをしてきます」。ソチでの活躍を誓う表情は晴れやかだった。

 10年バンクーバー女子スケルトン1回戦。規定のステッカーをはがしていたことが判明し、スタート10分前に小室に失格が告げられた。その場に崩れ落ち、頭が真っ白に。「なんという、とり返しのつかないことをしてしまったんだろうと思いました」。帰国後は人前に出ることも、友達と連絡を取ることもままならない日々が続いた。

 悩みから抜け出せずにいた11年3月、東日本大震災が発生。泥かきなどボランティアに参加し「私の問題は、なんて小さいんだ」と気持ちに変化が起こった。トレーニング方法、体の使い方など、一からスケルトンについて考えるように。大学1年から指導してきた仙台大・鈴木省三監督(58)は「責任を持て、と距離を置いてきた。よく頑張りました」と愛弟子の成長を喜ぶ。

 完全にふっきれたわけではない。五輪本番が近づくにつれ「前のことがフラッシュバックしてくる」と不安も口にする。だが、この4年間、常にオリンピックの舞台を頭に思い描き練習に励んできた。今季から使用する新しいソリとの一体感を深め、狙うのは「6位以内」と言い切る。スケルトン競技は2月13日からスタートする。「五輪で滑りきって初めて満足する」。ゴールし、4年越しの最高の笑顔を日本に届ける。【高場泉穂】

 ◆小室希(こむろ・のぞみ)1985年(昭60)5月29日、宮城県村田町生まれ。村田一中で陸上部、白石女子高ではソフトボール部。仙台大1年からスケルトンを始める。全日本選手権は09年から5連覇。06年にはソリ系競技普及などのためボブスレー、リュージュの女子選手とともにユニット「L☆BS」も結成。家族は両親、姉、妹。162センチ、63キロ。血液型O。