日本が3位に入り、来年のリオ五輪出場権を獲得した。8位以内が五輪切符を手にするレースに、日本は大瀬戸一馬(20=法大)藤光謙司(29=ゼンリン)桐生祥秀(19=東洋大)谷口耕太郎(20=中大)で出場。予選は38秒73で3組2着で通過し、決勝は日本歴代3位となる38秒20の好タイムで3位に入った。辞退や故障者が相次ぐ危機だったが、日本は伝統のバトンワークで乗り越え、陸上では一番乗りでリオ五輪の権利を手にした。

 4人で抱き合って、喜びを分かち合った。3走の桐生は「久しぶりに興奮した。最高の瞬間」。リオ五輪出場権がかかった今大会で銅メダルを獲得。米国、ジャマイカに続く3位に入った。日本歴代3位の38秒20で堂々の表彰台だ。

 大ピンチだった。高瀬、山県と中心選手がけがで欠場。さらに14日開幕の関東インカレと日程が近く、有望な大学生に辞退者が相次いだ。現地入り後も08年北京五輪同種目銅メダルの塚原が故障。補欠だった大瀬戸が1走となった。メダルどころか予選敗退もちらつく陣容だった。

 進化したバトンワークがカギだった。昨秋の仁川アジア大会で中国にアジア記録を更新されて敗北。短距離チームは2月の沖縄合宿から伝統のアンダーハンドパスを改良。走者が腕を伸ばし距離を稼ぐ新方式にした。3月のテキサスリレーではズレもあったが、本番で見事に成功した。

 2走藤光は「リオ五輪につながる銅メダルになったと思う。故障者が相次いで不安もあったが、チームが結束できた」と喜んだ。男子100メートルで日本記録10秒00を誇る伊東浩司氏は「100メートルで10秒1台の選手が集まっても38秒20は簡単に出ないもの。現場の指導者が最高の仕事をした」。日本陸連の原田強化委員長は「まさか3位までとは。予想以上に頑張ってくれた」と絶賛した。

 桐生は「自然とスイッチが入り、夢中で走った。本気の米国、ジャマイカはボルトが出ている中でこのメダルは大きい。リオ五輪でも表彰台を目指し、もっと強くなりたい」。辞退者が続出してベスト布陣が組めないなど課題は残るが、陸上競技では最速のリオ切符を得た。本番まであと1年3カ月。日本陸連が指導力を発揮して代表チームの重みが増せば、北京以来となる五輪での表彰台も夢ではない。

 <桐生以外の3人のコメント>

 大瀬戸一馬 1走で流れをつくれた。最高に気持ちいい。プレッシャーもあったが、思い切り走った。前回の経験を生かせたし、バトンパスもうまくいった。

 藤光謙司 リオ五輪につながる銅メダルになったと思う。世界大会で米国、ジャマイカに次いで3位は価値がある。最高にうれしい。故障者が相次いで不安もあったが、チームが結束できた。

 谷口耕太郎 アンカーでも緊張よりわくわく感があった。開き直って楽しもうと思って走れた。ゴールした瞬間は信じられなかった。3位を守れて良かった。