男子短距離のサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が、戦後初の快挙を達成した。同100メートル準決勝は10秒59で全体の8位で最下位通過。しかし向かい風0・9メートルの決勝は10秒40で、前日27日の同200メートルと同じく2位に入った。高校生が100メートルと200メートルで表彰台に立つのは戦後初のケース。驚異の16歳は、来年のリオ五輪での活躍を目標に掲げた。

 サニブラウンが、後半にぐんぐん加速した。スタートで出遅れた100メートル決勝。ケンブリッジら3人と横一線でゴール。2位争いは、0秒02差に4人がひしめく接戦。それを制して2日連続の表彰台をゲットした。どよめく会場で、16歳は「また2位ですか…。最後をまとめれば優勝できたんじゃないかと思います」。

 驚異の16歳だ。高校生が100メートルと200メートルで同時に表彰台に立つのは戦後初。国内のトップ選手を相手に3日間で5レースを走って、結果を出した。日本陸連の原田強化委員長は「スプリント界に価値ある選手がまた1人出てきた」。

 ガーナ人の父と短距離で高校総体に出場した母を持つ。小3で陸上を始めたが「最初は結構イヤイヤでした。スタートラインに立つまでが緊張する」という。中3から楽しくなり始めて、今年5月に初のシニア大会となる静岡国際に出場。200メートルで20秒73をマークして「来年のリオ五輪にいけると思い始めた」。

 初の日本選手権でダブル表彰台。8月の世界選手権(北京)も視野に入る爆発ぶり。将来の目標にウサイン・ボルトが持つ世界記録9秒58の更新を掲げる。桐生を軸に盛り上がる短距離界にでっかい夢を持つ16歳が加わった。【益田一弘】