リオでボルトと-。男子200メートルのサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が、準決勝で敗退した。向かい風0・2メートルの同2組で20秒47の5着。ウサイン・ボルト(29=ジャマイカ)と対戦できず「来年に持ち越しということで」と来年のリオデジャネイロ五輪で初対決を誓った。

 ひとまわり大きくなって、リオで相まみえる。サニブラウンは、北京で実現しなかったボルトとの対戦について口を開いた。「ボルト選手と走れなくて、悔しい。来年に持ち越しということで」。同種目では世界最年少出場で準決勝進出。ガトリンとは2度走った。次は五輪の大舞台で「人類最速の男」と全力勝負する。

 個人での世界初挑戦は、準決勝で終わった。サニブラウンは大外の9レーンから先頭のガトリンを追ったが、離された。内側のレーンを猛者たちが駆け抜ける。「ラスト50メートルは置いていかれるのがわかった。へばりました。予選を1本走って見えない疲労があった。楽しかったけど、勝負できたらもっと楽しかった」。

 16歳の少年には挑戦者の魂が宿る。昨年の高校総体(山梨)で、高1のサニブラウンは200メートル2位だった。神奈川・相洋高3年の今野恭佑に負けた。すると山村監督に「(2カ月後の)日本ジュニア(19歳以下)にエントリーしたい」と申し出た。本来はユース(17歳以下)だが、大学1年も入るカテゴリーに「飛び級」で出場。結果は、今野にリベンジして優勝した。

 山村監督は「同世代よりも、上とやらせるほうがいい。負けても、それをバネに強くなることができる性格」と言う。初のシニア大会だった今年5月の静岡国際では、当時自己ベストの20秒73を出して「リオを狙えるかなと思うようになった」。そこからわずか3カ月で、世界選手権の準決勝にまで到達した。

 個人種目でのボルトとの競争は持ち越しとなった。ただ今大会はアンカーが期待される400メートルリレーが残っている。サニブラウンは「予想よりもいい経験ができてよかった。(リレーは)しっかりリセットして気持ちを合わせていきたい」。日本の目標はメダル。まずリレーのアンカーとして、ボルトと対決する可能性はある。【益田一弘】