全国高校駅伝で男女合わせて9度の優勝を誇る宮城・仙台育英高陸上部の特待生ら1、2年生の主力10人(男子7人、女子3人)が、女子で3度の優勝実績を持つ愛知・豊川高に集団で転入することが20日、関係者の話で分かった。東日本大震災の影響などによるチームの混乱が理由で、有望選手の将来を考慮した豊川高が被災地支援の救済措置として受け入れた。3月1日に駅伝部に加わる。

 関係者によると、18日に転入生を受け入れる試験があり、入学が決まった。全国高等学校体育連盟(全国高体連)によると、優勝校間での多数の「特待生移籍」は例がない。

 北京五輪男子マラソン金メダルの故サムエル・ワンジル選手(ケニア)や女子長距離の絹川愛選手(ミズノ)を輩出した仙台育英高は、震災で練習環境に影響が出た。昨年12月の高校駅伝で女子は3位だったが、男子は12位だった。清野純一監督(27)の退任が決まったこともあり、チームに動揺が広がっていた。

 豊川高関係者は「被災地域の生徒に貢献したい考えで判断した。つらい思いをしている生徒もおり心のケアを含めて対応したい」と、仙台育英高関係者は「生徒の意思を尊重した。陸上部は一からやり直し」と話した。

 全国高体連は意図的な移籍などを防ぐため、関係する大会に原則として転校後6カ月未満の生徒の参加を認めていないが、震災に伴うケースは弾力的に運用している。愛知県高体連は「震災の人道的支援でもあり、慎重に検討する」と話した。