陸上のダイヤモンドリーグ第4戦のプレフォンテインクラシックが6月2日、米オレゴン州ユージーンで行われる。劉翔(28=中国)らビッグ3が出場する男子110メートルハードルが一番の注目種目だ。

 世界歴代1~3位の豪華メンバーが集まった。世界記録保持者のダイロン・ロブレス(25=キューバ)が12秒87、中国の国民的ヒーローの劉翔が12秒88、そしてデービッド・オリバー(30=アメリカ)が12秒89。その差は0.01秒ずつである。

 ロブレスと劉翔は“因縁”が生じた昨年のテグ世界陸上以来の対決になる。テグでは劉翔がロブレスを抜こうとしたところで両者の腕が接触。ロブレスが1着でフィニッシュしたが、劉翔を妨害したとして失格に。劉翔はバランスを崩して2位に終わった。

 2人の対決は劉翔が優位に立っている。5月19日のダイヤモンドリーグ上海大会に12秒97で優勝。アキレス腱を手術した2008年以後では初の12秒台だった。それに対しロブレスは今季、目立った記録を出していない。

 対オリバーということでも、劉翔は上海大会で直接対決に勝っている。しかし昨年のユージーン大会ではオリバーが劉翔を抑え、12秒94の好タイムで優勝した。オリバーは昨年の再現を狙ってくるはずだ。

 注目選手はこの3人だけではない。劉翔にアクシデントがあったとはいえ、ジェイソン・リチャードソン(26=アメリカ)はテグの世界陸上優勝者。アリエス・メリット(25=アメリカ)は今年3月の世界室内60メートルハードルで劉翔を破って優勝した。

 歴代トップ3に、新鋭の世界チャンピオン2人が加わる。110メートルハードルは有力選手がひしめく大激戦種目になってきた。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が揃う中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。