04年アテネ五輪女子マラソン金メダルの野口みずき(34=シスメックス)が、涙で復活を誓った。10年ぶりの世界選手権(8月10日開幕、モスクワ)を前に25日、神戸市内で所属先の壮行会に出席。家次社長ら社員約500人の前でメダル獲得への決意を口にした。

 感極まって何度も言葉に詰まった。「おわびと感謝の気持ちを伝えたいと思います。08年の北京五輪で代表に選ばれながら、直前の故障で欠場して皆様に心配とご迷惑をかけた。本当にすみませんでした」。自らつらい過去に触れ胸のつかえを吐き出して、泣いた。

 05年12月から同社に所属。北京五輪前に盛大な壮行会も開かれたが、期待に応えられなかった。5年を経てシスメックスの野口として初めて世界の舞台に立つ。「故障中に私は金メダリストのプライドを捨てました。あとに残ったのは挑戦する気持ちと諦めない気持ち。そのおかげで戻ってくることができた。世界の表彰台に上がることを目標に頑張ります。頑張ります」と静かに繰り返した。

 同社の家次社長は、8月10日の女子マラソン当日に応援会を開く計画を明かした。メダルを獲得すれば、祝賀会も検討。日本女子マラソン界では前例のない10年ぶりの世界選手権出場。野口が不死鳥のようによみがえる。【益田一弘】