3月20日から24日にかけて、ドイツのベルリンではダイビングワールドカップ第2戦が行われた。ここへ参加したのは、パリ・オリンピック(五輪)内定の選手たち。

五輪に向けて、それぞれの課題や目標に向かって熱い戦いを繰り広げた。

今回は私もジャッジとして参加。私が中学3年生で初めて日本代表として訪れた国がドイツだった。そのこともあり、懐かしさと特別な思いの中、現地入りした。

ベルリンで行われたW杯第2戦でジャッジを務めた筆者(最後列左)
ベルリンで行われたW杯第2戦でジャッジを務めた筆者(最後列左)

大会3日目に行われたのは、「女子3m個人・決勝」と「男子10m個人・決勝」。

女子3mに出場した三上紗也可(日本体育大学)は、今大会では武器である「5154B(前宙返り2回半2回半捻り・えび型)」を封印。捻りが1回転少ない「5152B(前宙返り2回半1回捻り・えび型)」を選択し、試合に臨んだ。

難易度を下げてのいたため、あまり調子が良くないのかと心配したが全くそんな事はなかった。キレのある動きに回転のコントロールもバッチリ。ほぼノーミスで最終演技を終えた。表彰台には1歩及ばず4位だったが、パリに向けていい手ごたえを感じたのではないだろうか。

これまで世界では「5154B」を選ぶ女子選手はほとんどいなかった。高さやスピード、そして筋力という、女子にとってはとても高度な技術が必要になるからだ。しかし、最近は世界のレベルが上がってきたこともあり、この高難度の技を選択できる選手が増えてきている。決めれば高得点。しかし、失敗のリスクも大きい。それでもメダルを獲得するには大きな鍵になる。この大技を自分のものにし、メダルを獲得する選手が誰なのか、楽しみである。

そして男子10m決勝に出場したのは玉井陸斗(JSS宝塚)だ。

予選は、安定した演技を見せた玉井。しかし決勝では、よく動いている体をコントロールしきれず、失敗が続いた。

4本目の6245D(逆立ち宙返り2回2回半捻り・自由型)でようやく8点台の演技。しかし、その後の演技でも回転を止めきれず、水しぶきが大きく上がった。結果は6位。メダルに十分手が届く実力があるだけに悔しさが残った。

会場となったベルリンのプール
会場となったベルリンのプール

それでも、今回も玉井のジャンプ力には世界中が注目していた。彼の持ち味である高さのある演技と美しいフォーム。決まれば10点が出る数少ない選手の1人だ。動きすぎる体をコントロールする力を身につければ、彼は無敵だろう。

パリ五輪の出場選手が続々と決まってきているこの時期。各国のコーチたちの指導にも力が入っていた。世界は確実にレベルが上がってきている。選手同士で切磋琢磨しながら、五輪でもいい戦いを見せてくれることが楽しみだ。(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)