<高校総体:みちのく発>

 来年のインターハイに向けて始動した選手たちもいる。6~9日に岩手県花巻市田瀬湖で行われたボート競技5種目に出場した山田(岩手)の部員たちだ。

 インターハイ常連の名門ボート部だが、今回は勝手が違った。3月11日の東日本大震災の津波でボート20艇のうち10艇が海に流され、残る10艇も被害を受けた。大会のボートは公平を期すため本部が用意するが、水上での実践練習がままならない。迎えた7月下旬、1艇のボートが届けられた。「おお!」生徒たちは驚いた。津波の被害を受けたボートが修理されて戻ってきた。

 修理を請け負った滋賀県大津市桑野造船の古川宗寿社長(66)は「お互いに助け合わないと。選手が競技を続けられるように支援が途切れないようみんなで支えないといけない」と言った。道具を大事にしてきた選手たちは自分たちの船が戻ってきた喜びを感じ大会に臨んだ。

 11日から今日13日まで、戻ってきたボート、津波で屋根に刺さっていたオールも使って田瀬湖で合宿を行っている。鎌野貴広監督(34)は「今のチームは3月までの貯金があったが今後どうしていこうか」と言った。山田湾で行っていた練習は被災の影響でまだ再開できない。再開後も見据えた長い支援が必要になる。【松屋圭祐】