2人目の中学生代表誕生へ-。女子200メートル平泳ぎ準決勝で、岐阜市立岐阜西中3年の今井月(るな、14=本巣SS)が2分24秒37と全体のトップで通過し、2位以内の世界選手権(7月、ロシア)代表権を目前にした。9日には同学年で親友の池江璃花子(14)が800メートルリレーの代表権を獲得。今日12日の決勝で、今年の世界選手権の個人種目では中学生初となる代表権獲得に挑む。

 肌寒い春の東京で、中学生旋風を巻き起こす。女子200メートル平泳ぎ。14歳の今井は予選、準決勝ともに、14年覇者の渡部、13年覇者の金藤らを抑えてトップで通過した。「予選からタイムを上げられた。明日の決勝につながる」と2位以内の世界選手権代表入りに手応えをつかんだ。

 9日の100メートルでは世界選手権出場枠の2位に入ったが、派遣標準記録に0秒24届かず、代表入りを逃した。同日、小学生の頃から仲が良い、同じ14歳の池江がリレーで代表権を獲得。得意の200メートルは「絶対に代表に入る」と強い思いでレースに臨んでいる。

 水の申し子だ。父博美さん(49)は「2歳のときプールに投げ込んでも喜んでいた。水を怖がることはなかった」と振り返る。3歳で水泳を開始。幼稚園の年長で自由形、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎの4種目をマスターした。小学校入学後も地元の大会で活躍したが、8歳の誕生日に悲劇が起きた。

 38歳だった母リサさんが急死。計り知れないショックを受けたが、母が応援してくれた水泳をやめることはなかった。父博美さんは「『もう1回結婚すればいい』と逆に励まされたときは泣けてきた」と娘に感謝するように言った。大好きだった母への思いは心の支柱。大会前は必ず地元岐阜にあるお墓に行く。今大会前も墓前で世界選手権の出場権獲得を誓ってきた。

 将来の目標は20年東京五輪で金メダルを獲得し、モデルになること。大きな夢への第1歩として、まずは今年の世界選手権代表を勝ち取る。今日12日の決勝。目標は派遣標準記録(2分24秒67)を上回る自身の2分23秒59の中学記録を更新しての2位以内になる。「渡部さんに無理せずついていきたい。体力には自信がある」。伸び盛りの14歳の勢いは止まりそうにない。【田口潤】

 ◆今井月(いまい・るな)2000年(平12)8月15日、岐阜市生まれ。3歳で水泳を始める。小6で50、100、200メートル平泳ぎ、400メートル個人メドレーの学童記録を樹立。中1で出場した13年日本選手権の200メートル平泳ぎで3位に入り注目される。兄の流星(ひかる、16)も平泳ぎの元中学生王者。岐阜市立岐阜西中3年。名前のルナは「月の女神」のラテン語読み。162センチ、48キロ。