競泳の萩野公介(20=東洋大)が3日、都内で会見し、8月の世界選手権(ロシア・カザニ)の欠場を表明した。右ひじ負傷のため2日、合宿先のフランス・カネから緊急帰国。この日、都内で精密検査を受けて、右ひじ橈骨(とうこつ)頭骨折で全治2カ月と判明した。

 アクシデントは先月28日、合宿先のフランスで起きた。宿舎から自転車でプールに向かったとき、車道と歩道の段差で転倒。とっさに右手をついた衝撃でひじの骨が折れた。金岡チームドクターは「手術は必要ないが、手を使って泳ぐまでは2カ月くらいかかる」と状態を説明した。

 今年の目標は世界選手権金メダルで、来年のリオデジャネイロ五輪代表内定を勝ち取って、五輪金メダルへの強化を進める青写真だった。ケガによる欠場で、五輪代表選考会となる来年4月の日本選手権までに、まずは万全の状態に戻すことが先決になる。右ひじをギプスで固定し会見場に現れた萩野は「来年の五輪で金メダルを取ると、心に決めて早くケガを治す」と焦りを抑えるように言った。

 4年前の世界選手権も、選考会で脱水症状を起こして救急車で運ばれ、出場権を逃している。大きな挫折だったが、翌年のロンドン五輪では400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得した。今年も晴れの大舞台の裏で地道なリハビリが続くが、下を向くつもりはない。「(瀬戸)大也が大活躍するのを見て、リハビリなどやるべきことを精いっぱい頑張る」。日本水泳界のエースは前を見ている。【田口潤】

 ◆15年水泳世界選手権 ロシア・カザニで今月24日に開幕し、8月9日まで行われる。25日から飛び込み、シンクロ、オープンウオーターが開始。競泳は8月2日に始まる。