【ブライトン(英国)17日=岡崎悠利】ラグビーのW杯イングランド大会に臨む日本代表は、1次リーグB組で19日(日本時間20日未明)に行われる南アフリカ戦の登録メンバー23人を発表した。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(55、HC)は会見で「自分たちのスタイルを貫く」と、優勝候補を相手に真っ向勝負を宣言した。大会は18日(同19日未明)のイングランド-フィジー戦で開幕する。

 ジョーンズHCは冒頭に「この試合におけるベストの23人を選んだ。真っ向勝負する準備はできている」と満足そうに話した。体格は世界一大きいといわれる南アフリカに対し、「小兵が巨人と戦うようなものだ」とも表現した。勝負のカギにはスクラム、ラインアウトなどのセットプレーを挙げ、パワー自慢の相手にも「フィジカルで戦わなければいけない。どんなボールでも確保して、動かしていく」。12年の就任以来、磨きをかけた攻撃ラグビーを貫くことを強調した。

 ジョーンズHCが話す「攻撃ラグビー」は、キックを使わずにパスでつないでいくポゼッション重視のラグビーを言う。長い時間の攻撃は体力を消耗するため、多くのチームはキックでボールを味方ゴールから遠ざけつつプレーする。そこに日本独自のスタイルを見いだした。「日本人は苦しくても気持ちを切らさずに走り続けられる」。就任から約3年半、「世界一のフィットネス(体力)」を掲げ、今年4月からは毎朝6時からの3部練習も敢行してきた。

 全体練習の前にはほぼ必ずウエートトレーニングを行い、あえて疲労した状態で練習を積んだ。試合を直前に控えた現在も、練習の強度はあまり落としていない。プロップ畠山は「僕らは肺を広げておいた方がいい。少し疲れているくらいが一番」と頼もしい。80分間、ボールを保持して走り続ける準備はできている。

 相手の南アフリカは今季初めて格下のアルゼンチンに敗れ、一時は2位だった世界ランクを5位まで落とすなど、万全とは言えない状態にある。「うまくいけば勝てる」。そう語ったジョーンズHCは会見の最後に「多くのサプライズを見せられるでしょう」と不敵に笑った。歴史的な金星へ、真っ向勝負の覚悟は決まっている。

 ◆大会方式 1次リーグは各チームが4試合ずつ戦って、勝ち点の多い上位2チームが決勝トーナメント(8強)に進出。勝ち点は、勝ち=4点、引き分け=2点、負け=0点。4トライ以上奪うか7点差以内なら、敗戦でもボーナス点1が加わる。勝ち点が同じ場合は(1)直接対決の成績(2)総得失点差(3)得失トライ数差(4)得点数(5)トライ数(6)10月12日発表予定の世界ランキング、の順で決める。

 ◆日本のラグビーW杯成績 過去全7大会に出場しているが、1勝2分け21敗で1次リーグを突破したことがない。91年大会でジンバブエに52-8で勝ったのが唯一の勝利。95年大会では、準優勝したニュージーランドに17-145と大会史上最多失点で敗れている。