ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(43=土屋ホーム)の妹前川久美子さん(38)が13日に亡くなり、19日に北海道名寄市の斎場で告別式が営まれた。親族、スキー関係者ら約100人が参列。欧州遠征を取りやめて18日に帰国した葛西は「ずっとつらい思いをしてきたが、お母さん(97年死去の幸子さん)のところにようやく行ける。よくここまで頑張って生きてくれました」と最愛の妹との別れに目を真っ赤に腫らした。

 久美子さんは、93年に再生不良性貧血を発症。一時は完治したとみられたが、一昨年11月に再入院。昨年5月に昏睡(こんすい)状態に陥っていた。死因は再生不良性貧血による慢性移植片対宿生病。葛西は15、16日の世界フライング選手権が行われたオーストリアに到着後、訃報を聞いた。欠場も考えたが、姉紀子さん(46)に「久美子はいつも応援していた」と言われ喪章をつけて出場。15日には自己最長タイの240・5メートルを飛ぶなど5位に入った。「妹のために飛んだ」と話した。

 葛西は今週末のW杯は欠場するが、札幌で行われる23、24日の大会には出場する予定だ。「いい成績を出したい」。これからも、天国に旅立った久美子さんに大ジャンプを届けていく。