【台北17日=高場泉穂】4回転ループは俺が1番に決める! 今日18日開幕するフィギュアスケート4大陸選手権の公式練習が行われ、今季グランプリ(GP)シリーズファイナル銅メダリストの宇野昌磨(18=中京大中京高)が、いまだ誰も達成していない4回転ループを3度着氷した。今大会ではプログラムに組み込まない予定だが「誰も跳んだことのない4回転ジャンプを増やしたい思いが強い」と、あらためて宣言した。

 40分間の練習の終盤。宇野のあまりに美しい4回転ループの成功に、拍手が起こった。難しいとされる同ジャンプを10度試み、3度着氷。それでも「ちゃんと降りたのは(最後の)1回。もっといいのもできます」と満足はしなかった。

 4回転ジャンプは過去、トーループ、サルコー、ルッツと3種類が国際連盟公認大会で成功例があり、ループはまだ誰も試合で成功したことがない。羽生結弦がGPファイナルのエキシビションで達成し、今季中の試合での挑戦を検討している大技だ。宇野も練習していることを公言していた。今大会でやる予定がないにもかかわらず、なぜ練習で試みたのか。言葉に自信がにじみ出た。

 宇野 他は全部跳べるジャンプ。(ループは)1日1本は跳んでいきたいと思っているのでやりました。まぁでも、いつもの方がもっと確率よく跳べます。

 ここ台北アリーナは、2年前のアジア杯で初めて試合で4回転ジャンプを成功し、優勝した思い出の場所。相性のいいリンクが、挑戦への背中を押したのかもしれない。

 宇野の今季の演技では、フリーに組み込まれた「クリムキンイーグル」という、両足を開き、極端なえび反りで横に滑る技が目を引く。必ずそのパフォーマンスで観客は沸くが、本人は「誰でもやろうと思えばできる。自慢できるものではない」と素っ気ない。「自分だけの技は必要としていないですけど、強いていうなら誰も跳んだことのない4回転の種類を増やしていきたい」とあらためて“一番乗り”への思いを語った。ループは「調子のいいときにしか跳べないジャンプではなくなってきている」と成功率が高まっているのは確か。1カ月後に迫る世界選手権で史上初の4回転ループ成功となるのか、偉業は現実味を帯びてきた。