スーパーラグビー(SR)に今季から参入した日本のサンウルブズが、昨季8位のライオンズ(南アフリカ)に13-26で敗れた。開幕戦を飾れなかったが、後半18分にフッカー堀江翔太主将(30=パナソニック)のチーム初トライで一時は6点差に迫るなど、短い準備期間ながら大健闘。最大の目的である19年W杯日本大会へ向けた選手強化へ、無謀とも思われた初シーズンの初戦で可能性を示した。第2戦は3月12日にチーターズ(南アフリカ)とシンガポールで対戦する。
世界最高峰の舞台は、見たことのない光景を秩父宮にもたらした。電光掲示板の選手紹介は動画が用いられた。炎が噴出する演出の中で選手が飛び出すと、観客に配布された赤いチームタオルが一斉に揺れる。新しい歴史を紡ぐ80分。試合を終えたプロップ垣永の左耳は切れて血が流れ、ロック大野のまぶたは青黒く腫れていた。敗戦を告げる笛が鳴る。スタンドは観客が振るタオルで埋まったままだった。堀江は「モチベーションになった。感謝している。次は結果を残したい」と、少し表情を崩した。
チーム初トライは6-19の後半18分。パスを多用した連続攻撃でゴール目前に迫る。SH日和佐の背後から走り込んでパスを受けた堀江は左手に持つボールを守るように右肩から突進し、倒れながら腕をいっぱいに伸ばした。「ラッキーですね。(インゴールに)置いただけです。チームで動いていったものなので」。つないだボールは大黒柱の手でインゴールを越え、一時6点差になった。
サンウルブズには日本代表の中核だったリーチも五郎丸もいない。準備期間は1カ月足らず。ハメット・ヘッドコーチ(HC)は就任の遅れで選手の選考に関われなかった。さらに母親の死で19日に一時帰国し、日本に戻って堀江主将と対面したのは、この日の朝だった。ハメットHCは「体の強化が必要だが、短い時間でよくここまできた」と敗戦にも前向きに捉えた。
外国人選手の力も借りながら、垣永や山本ら若い選手が南アの大男とスクラムを組んだ。SR経験者の堀江やプロップ稲垣は「この試合が年に15回ある。力は間違いなく伸びる」と口をそろえた。かつてSRに途中から参入した4チームのうち、3チームが最初のシーズンで最下位に沈んでいる。下馬評も高くないサンウルブズ。洗礼を受けながら、SR初勝利、その先にある19年W杯での勝利を目指す。この日、確かな1歩を刻んだ。【岡崎悠利】
◆サンウルブズ 今季から参戦した日本を拠点としたチーム。昨年9月のW杯イングランド大会に参加した日本代表10人が参加している。参加資格はなく、海外の国代表チーム経験者も含まれている。チーム名は日本を象徴する太陽と、小兵でも統率された群れで大きな敵に立ち向かおうとするオオカミを組み合わせたもの。1次リーグ15試合のうち8試合がホームゲームで、うち3試合はシンガポールで行われる。


