リオデジャネイロ・パラリンピックに出場する、競泳男子の山田拓朗(24=NTTドコモ)が8日、都内で行われた日本代表候補合宿に参加し、関連会社に所属し、違法カジノ店で賭博をしていたバドミントンの桃田賢斗(21)と田児賢一(26=ともにNTT東日本)について言及した。

 練習後、笑顔で取材に応じていた山田は、賭博問題の質問が飛ぶと表情が一変した。「う~ん…。試合での高いパフォーマンスは大事ですが、人としてという部分がある。アスリートは子どもたちが憧れる職業であり、影響力もある。日本代表としての高い意識と教育が必要だったのかもしれない」と、言葉を慎重に選びながら話した。

 山田は昨年10月からロンドン五輪男子平泳ぎ銅の立石諒(26)のコーチ高城直樹氏から指導を受ける。練習をともにする立石は8日夜、日本選手権の200メートル決勝のレースでリオデジャネイロ五輪出場の可否が決まる。決勝は、ロンドン五輪と同じく8コースからで「端から上がってほしい。気持ちの切り替えの早さが持ち味の諒さんなので、やってくれるはずです」と期待を寄せた。

 山田は、先天性左前腕亡失で生まれつき左肘から先がない。幼少期は「水嫌い」で、競泳は母が「シャワーが浴びられるように」との思いから3歳で始めた。上達が早く、7歳で4泳法を習得した。日本パラリンピック史上最年少の13歳で04年アテネ大会に出場し、過去3大会では4位が最高。4回目となるリオ大会では50、100メートル自由形に出場する。「50メートルは世界のトップとも混戦状態のレベルなので金メダル。100メートルはメダル獲得が目標です」。

 筑波大卒業後の14年、NTTドコモに入社した。人事部に属し、会社の支援を得て練習に取り組んでいる。パラ競泳界のイケメン選手としても注目を集めている。