中1の張本智和(12=エリートアカデミー)が、世界ランク28位でリオデジャネイロ五輪代表の何鈞傑(香港)を3-1で撃破した。今大会初戦となったU-21(21歳以下)部門男子シングルス1回戦で勝利。続く一般の部でも、予選1回戦、2回戦を突破し、本戦進出に王手をかけた。20年東京五輪開幕まで1500日を迎えた節目の日に、五輪と同じ会場で金メダルを狙う逸材が輝いた。

 張本は得点を挙げるたびに叫んだ。「チョレイ!」。今大会初戦となったU-21男子シングルス1回戦。緊張を感じさせず、試合開始から雄たけび5連発でリードすると波に乗った。

 リオ五輪団体戦の香港代表を相手に2ゲーム先取。第3ゲームはあっさり失っても動揺はなかった。最後は得意のチキータ(バックハンドレシーブ)を決めて勝つと「強い相手ばかり。その相手に勝てたので楽しかった」と、小さく拳を握って笑顔を見せた。

 昨年10月のポーランドオープンではワールドツアー史上最年少で本戦進出。今月上旬のスロベニアオープンでは史上最年少8強と成長著しい。4月からは日本代表合宿にも参加中。エリートアカデミーの宮崎総監督も「吸収力がすごい。水谷と天才同士で、ダブルスを組ませてみたい」と評価する逸材だ。代表合宿で学んだ、通常とは逆回転のYG(ヤングジェネレーション)サーブも実戦で試すなど、余裕の勝利だった。

 一般の部のシングルス予選でも1回戦で4-2、2回戦を4-2で勝ち、今日16日には同ツアー優勝経験のある大島と対戦する。「今日でトップ選手ともやれると思った。U-21は決勝進出、一般は本戦に出場したい」。東京五輪金メダル候補は急成長中だ。【鎌田直秀】

 ◆張本智和(はりもと・ともかず)2003年(平15)6月24日、仙台市生まれ。2歳から仙台ジュニアクラブで競技を始め、今春からエリートアカデミー入校。全日本選手権では小1から世代別6連覇。小3時に東アジアホープス大会(12歳以下)で8強。家族は元選手でコーチの父宇さん、95年世界選手権・中国代表の母凌さん、妹美和さん(小2)。14年春に国籍を変更し、張姓から張本姓へ。167センチ、54キロ。