第2の辻沙絵(21=日体大)育成へ日本財団と日体大が強力タッグを組む。日本財団は3日、都内でパラアスリート奨学金制度の設立を発表した。日体大及び来春開校予定の日体大附属高等支援学校(北海道)など日体大の附属高校に在学する障がい者アスリートに、17年度から年間1人最高500万円の返還不要の奨学金を支給することを発表した。

 対象はパラリンピックなどの世界レベルの大会で活躍が期待できる学生で目標人数は50人。日体大に選考委員会を設置して審査する。奨学金の使途は学費、寮費、生活費、遠征費、用具費などの活動支援費になる。日本財団の笹川陽平会長は「パラリンピックなどの世界レベルの学生を育成することと、障がい者スポーツの指導者を育成して裾野を広げることが目的」と話した。日体大を対象にした理由については「日体大はトップ選手だけではなく、教員や指導者の養成にも力を注いできた歴史と実績がある」と説明した。

 日体大は来春、北海道・網走市に知的障がい者を対象に附属の高等支援学校を開校する。「1学年40人の全寮制。幸いにも各方面から問い合わせをいただいている。パラ種目をはじめとした選手の強化をはかっていきたい」と日体大の松浪健四郎理事長。昨年日体大に創設したパラアスリート部にも複数種目で受験希望があるそうで、「日体大をパラアスリートのメッカにしたい」と松浪理事長は意気込みを語った。

 会見に出席したリオ・パラリンピックの陸上女子400メートル(切断などT47)で銅メダルを獲得した日体大4年の辻は「銅メダルは私の力だけではなく、日体大がサポートしてくれたおかげ。1人だと金銭面など不安も多い。メダルを取れる選手がどんどん続いてほしい」と奨学金制度に期待していた。【首藤正徳】