リオデジャネイロ五輪レスリング女子75キロ級に出場した渡利璃穏(25=アイシンAW)が悪性リンパ腫(血液のがん)の一種「ホジキンリンパ腫」で闘病していることが24日、分かった。この日公開されたレスリング強化合宿の中で、取材に応じた栄和人強化本部長が明らかにした。

 栄本部長の説明によると、リオデジャネイロ五輪前の7月の検査で異常が見つかり、五輪後の9月の検査でホジキンリンパ腫であることがはっきりしたという。栄本部長は「胸に腫瘍が見つかり、五輪後に病名が分かった。今は1週間入院して退院する状況」と、現状について説明した。個人情報になるが、栄本部長が渡利本人と連絡を取り、公表に至った。

 レスリング協会の関係者は「本人も(公表することには)了解しています。明らかになることで、刺激にしたいという気持ちのようです」と、渡利の気持ちを代弁した。栄本部長は「体重を変えてまで五輪に挑んだ強い気持ちを持った根性のある選手だ」とし、病気を克服することに強い期待を示した。

 また、この合宿がコーチデビューとなった吉田沙保里は「彼女も闘っていると思う。なってしまったことはしょうがない。学校にもちょこちょこ顔を出していて元気そうにしている。しっかり治して、20年東京五輪へ一緒に頑張っていきたい」と冷静な顔で渡利に激励の言葉を贈った。

 ◆渡利璃穏(わたり・りお)1991年(平3)9月19日、松江市生まれ。小1の時に「マット運動だと思って」松江レスリングクラブで競技を始め、松江第一中で全国中学生選手権優勝。至学館高から至学館大に進み、13年全日本選手権、14年アジア大会など63キロ級で優勝。リオ五輪最後のイスを目指し、昨年末の全日本選手権で75キロ級に転向し、見事に日本代表に。同五輪では75キロ級2回戦で判定負けし初戦敗退。163センチ。