今季のトップリーグ(TL)を制したサントリーが、2連覇を狙ったパナソニック(同3位)を15-10で破り、4季ぶり7度目の優勝でTLとの2冠を達成した。3-3で折り返した後半に一時逆転されたが、ノートライの計5PGで競り勝った。昨季TL9位から今季は公式戦17勝無敗。V字回復の陰には、2年目で異例の主将に抜てきされたSH流大(ながれ・ゆたか、24)の存在があった。

 ノーサイドのホイッスルが鳴ると流は両手を高々と上げた。喜びをぐっとかみしめるように、仲間とスタンドに駆け寄った。「ファイナルは勝つことが大事。ゲームプランよりも勝ちにこだわった」。ノートライでも主導権を握って守り勝ったことを誇った。

 3-3で折り返したハーフタイム。流は「もう1回我慢しよう」と声をかけた。同15分にキックをチャージされてトライを許して9-10と一時逆転されたが、FB松島に「チームのミス」と声をかけられて「救われた」。従来の空きスペースに素早く展開するラグビーとは違ったが、FWが体を張って近場を攻める我慢強いラグビーで反則を誘った。SO小野が前後半で計5PGを決めた。

 完全優勝の裏には流の存在がある。1年目から目標を持って努力していたとして沢木監督から主将に任命された。帝京大でも主将として大学日本一に導き、勝つ難しさを知っていた。主将となり「遠慮はしない」と意識改革に取り組んだ。「勝つため」にどう行動するかを常に考えた。各ポジションで国際試合の映像を見て、意見を出し合い、全員でイメージを共有。体づくりのためにニュージーランドなどの強豪国のデータをそろえて勉強した。昨季まで完全オフだった水曜日には選手同士で戦術を確認。数年前から練習メニューなどが変わらず停滞したチームに、2年目ながら高いプロ意識を植え付けた。