シドニー五輪柔道男子100キロ級金メダルで柔道男子日本代表の井上康生監督(38)が17日、東京・調布市で講演会を開催し、現役時代の最強の相手として同五輪100キロ超級銀メダルの篠原信一(44)を挙げた。

 現役時代の肉体改造の話になり、当時は180キロのベンチプレスを上げて鍛えていたことを明かした。「100キロ級の中では力の差はなく、(無差別級日本一を決める)全日本選手権での優勝を目指していた。勝てなかった相手が篠原さん。今では芸人と間違えられるかもしれないが、現役で組んだ最強の相手だった。引きつける力がすごかった」と当時を振り返った。98年大会決勝で負けて、それを機に肉体改造に取り組み、01年大会で篠原に勝って初優勝した。

 08年に現役引退。12年ロンドン五輪後に代表監督に就任した。「ハツラツとした指揮官」を理想とし、食事制限やトレーニングも定期的に行っている。「お酒は弱いのですが、実はスイーツ好きなんです。特に和菓子が大好きで、あんこや草餅は毎日でも食べたい。そこを節制して体づくりをしているんです」と意外な一面も明かした。

 リオ五輪では全7階級メダル獲得の快挙を達成した。選手には「何事にも想定外のことが起きての対応力が重要」と言い続けている。用意周到の井上監督だが、自身のエピソードとして「3番目の子どもが双子だったことは想定外だった。動揺して、動揺して、動揺した。選手に言っておきながら、非常に動揺してしまった」と苦笑いした。

 20年東京五輪ではさらなる活躍を誓う。強化においては、「成功した」と言われるリオ五輪までの基礎をベースとするが「同じことをやっていたら成功はない。新しいことを取り入れつつも、柔道の伝統を継承して取り組んでいきたい。1人でも多くの選手を金メダルに導き、日本の底力を世界にアピールできればと思う」と3年半後の大成功に向けて引きを引き締めた。