赤土は表層1、2ミリを覆い、センターコートには手押し車40台分の計2トン、全24面で45トンが使われる。大会中、整備に当たるのは計162人だ。ブリュノ氏ら10人の常勤コートキーパーと、フランス全土の赤土コートから集まる各管理責任者20人、残る132人を熟練のアルバイトが担う。朝6時半にコートカバーを外し、試合中はセット間にほうきがけ。試合後は「コートを溺れさせる」との表現で大量の水をまき、湿度を保つ。「全5層で赤土の下の第2、3層がスポンジの役割をする。構造は1928年に現会場に移転してから変えていない」という。

 赤土は湿ると摩擦で球足が遅くなり、晴れて乾燥すると速くなる。「ジョコビッチは必ず『水をかけてくれ』と言う。反対に(最多9度優勝の)ナダルはリクエストしてこない」とブリュノ氏。赤土をめぐる駆け引きで時には試合が5時間を超える。フランス代表コーチのティエリ・テュラーヌ氏(53)は「我々の誇りである赤土の上で、極限状態になった選手の心の中まで見えてくるような大会になる」と、今年もドラマが起きる展開に期待した。

 ◆全仏オープン 1891年に始まったフランス選手権が前身で、1925年から国際大会化。28年から現会場で開催。ローランギャロスは世界初の地中海横断に成功した飛行家の名。センターコートは約1万5000人収容のフィリップ・シャトリエで、今年の決勝は11日に行われる。日本勢は男子の佐藤次郎が31年と33年に、女子は伊達公子が95年に4強入りしたのが最高成績。

 ◆WOWOW放送予定 27日午後5時10分から「現地発! 全仏テニス最新情報」。同9時から「錦織圭 世界の頂点へ!」。ともにWOWOWプライムで無料放送。28日~6月11日は「赤土コートの頂点、全仏オープン・テニス」を連日生中継。