【シンガポール19日=吉松忠弘】21日に開幕する女子テニスのツアー最終戦WTAファイナルの1次リーグ組分け抽選が行われ、全米優勝で世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)は、同3位のケルバー(ドイツ)、同8位のスティーブンス(米国)、同10位のベルテンス(オランダ)と同じA組に入った。初戦は22日の日本時間午後8時半開始でスティーブンスと対戦する。

イタリアの超高級ブランド「ヴァレンティノ」の真っ赤なドレスに身を包み、大坂が世界的リゾート「マリーナベイ・サンズ」で行われたセレモニーで早くも優勝を宣言した。「絶対に優勝したい。そのために来ているの」。堂々と紫のカーペットの上を歩いた。

初出場ながら、入場の際には最も多くの拍手がおくられた。16日が21歳の誕生日。司会者からお祝いを言われると「もうお酒でも何でも飲めちゃうわ」とちゃめっ気たっぷりに話した。年間最優秀選手こそ逃したが、今大会最も注目される選手なのは間違いない。

2週間前の中国オープンで情緒不安定になり、泣きながら試合をこなした。しかし、準決勝で敗退後、日本に戻り、気持ちをリフレッシュ。都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで練習を積み「ちゃんと準備ができた」。やる気満々で、選ばれた8人の中でシンガポールに一番乗りを果たした。

組み合わせは恵まれた。同組で最も世界ランクが高いケルバーとは1勝3敗だが、17年の全米の大舞台で破った経験を持つ。初戦のスティーブンスとは0勝1敗だが、現在の力では大坂の方が上だろう。「みんなタフないい選手。どの試合も楽しみ」と気を引き締めるが、初戦に勝てば、波に乗る可能性は高い。

過去、最終戦に出場した日本女子は、94~96年の伊達公子と、03年の杉山愛の2人だけ。伊達の時は出場が16人でトーナメント方式だったが、最高成績は94年のベスト4。決勝に進んだ日本女子はいない。

また伊達、錦織圭と並んでマークした世界ランキング日本人最高位4位の更新にも注目が集まる。今季最後の世界の舞台でいよいよ大坂の時代が幕を開ける。

◆試合方式と賞金 8人の選手を4人ずつ2組に分け、各組で総当たり戦を行う。各組の上位2人、計4人が準決勝に進出。トーナメント方式で優勝を争う。賞金は、1次リーグでは勝敗に関係なく、出場料として1試合で11万ドル(約1210万円)、2試合で13万ドル(約1430万円)、3試合で15万1000ドル(約1660万円)が確約されている。3戦全敗でも15万1000ドルを獲得できる。また、1勝につき15万3000ドル(約1680万円)が上乗せされ、もし全勝優勝すれば賞金は236万ドル(約2億6000万円)となる。