世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)が、同7位のエリナ・スビトリナ(ウクライナ)に6-4、6-1のストレートで勝ち、日本女子の全豪シングルスとしては94年の伊達公子以来25年ぶりのベスト4進出を決めた。

28日発表予定の最新世界ランキングで3位以上になることが確定。伊達公子、錦織圭と並んでいた4位の日本選手最高位を更新した。今日24日予定の準決勝では、日本女子全豪史上初のシングルス決勝をかけ、同8位のカロリナ・プリスコバ(チェコ)と対戦する。

グラウンド・スマッシュが相手のコートに突き刺さると、日本テニスの歴史が、また動いた。大坂の世界3位以上が確定。伊達、錦織という偉大な先輩を上回った。「うれしいけど、満足なんてしていない。まだ先を見ている」と左手で小さくガッツポーズした。

3、4回戦は逆転勝ちで粘りを見せたが、本来は圧倒的な先手必勝型だ。第1セットを奪うと、これでツアー本戦予選、フェド杯を合わせ65連勝。16年10月の天津オープン準々決勝から2年以上負けていない。「気持ちもスムーズに行くの」と、この日は72分の速攻で片付けた。

3回戦から3試合いずれも苦手なタイプの相手だった。4回戦、準々決勝は対戦成績で負け越していた。それを「上達するのに、いいドローだった」と言い切るところに大坂の強みがある。「安定している選手と対戦することで、それになれて(自分も安定して)いけた」ことで、自分の弱点だった不安定さを改善していった。

快勝の裏にはどうしても勝ちたかった理由があった。1月23日は母方の祖父大坂鉄夫さんの74歳の誕生日だった。テレビのインタビューで「おじいちゃん、お誕生日おめでとう」とメッセージを送った。ただ、その優しさの中にも、しっかりとなおみ節は健在だった

会見で誕生日のことをたずねられると「今日23日? えっ、23日じゃない? なんだ23日よ。あなたたちうそつきね」。報道陣は何も言っていないのに、1人でつっこみ、1人でぼけ、にっこりと「だから、どうしても勝ちたかった」。

大会前の事前会見で、自分の精神年齢を3歳児と例えた。今大会で成長し、成人したかと思えば「う~ん、1歳ぐらい成長したかな。4歳ね。おめでとう私」。その“4歳児”が、24日にもアジア選手初の世界1位を奪取する。【メルボルン(オーストラリア)=吉松忠弘】