ショートプログラム(SP)首位発進の羽生結弦(25=ANA)がフリー187.60点の合計299.42点を記録し、初優勝を果たした。男子初となる6冠完全制覇「スーパースラム」を達成した。2位はジェイソン・ブラウン(25=米国)、3位は鍵山優真(16=星槎国際高横浜)、友野一希(21=同大)が7位だった。

18年平昌五輪で2連覇を達成した伝説のプログラム「SEIMEI」で、羽生が舞った。

 

7日のSPでは世界最高得点を記録。「SEIMEI」は2季前の4分30秒から、新ルールで30秒縮めた再演だった。SP後には思いを、こう表現していた。

「もちろん、特別な気持ちはあるんですけれど『平昌でやったから』とか『ここが韓国だから』って、そういう特別という意味ではなくて。やっぱり、自分にとってこのプログラムは特別。ファンの人たち、またはスケートを見ている方々にとって、このプログラムはすごく五輪の印象が強いと思うんです」

「だから『それを大切にしたいな』っていう気持ちはもちろんありますし『クリーンな演技をしたいな』という風に思いますけれど、あの時とは経験値が違います。音の感じ方とか、間のとり方とか、どういう風に表現したいか、というのも全然違う。だから『また違ったものにしたいな』っていう気持ちで、とりあえず今はいます」

慣れ親しんだメロディーへもたらせた、新しい息吹。次なる舞台は3年ぶりの優勝を目指す世界選手権(3月、カナダ・モントリオール)だ。羽生には、頂点が似合う。

▽羽生結弦のコメント「フリーでは満足できる演技ではなかったが、みなさんのご声援のおかげでなんとか初めて4大陸を優勝することができました。緊張しました。今回皆さん、ご存じの通り、コロナウイルスだとか、その他もろもろの問題で来れなかった人とか、あとは僕ら自身もすごく注意したり、運営の方々もすごく注意していたので、僕らも緊張しました。でもこうやって素晴らしい試合ができたのは、皆さんの配慮だとか、スタッフの皆さんのおかげです。本当にありがとうございました」

◆スーパースラム 「オリンピックチャンネル」が定義したもので、世界ジュニア選手権、ジュニアグランプリ(GP)ファイナル、シニアの五輪、世界選手権、GPファイナルに4大陸選手権(欧州勢は欧州選手権)を加えた6冠完全制覇の称号。女子は金妍児(韓国)とザギトワ(ロシア)が達成した。