自民党頼りだったスポーツ界は政権交代で、つながりが薄かった民主党への対応を迫られる。競技力向上を担う日本オリンピック委員会(JOC)と、国民スポーツの振興を進める日本体育協会では選挙から一夜明けた31日、不安や期待が交錯した。

 JOCには今年4月に幹部が民主党を訪れたときに「委員会」を「協会」と間違えられた苦い思いがある。同党がスポーツにどれだけ理解があるのか不透明な部分もあるが、東京都が招致を目指す2016年五輪開催地決定が10月2日に迫り、市原則之専務理事は「民主党もスポーツマインドの高い人はいる。新しい首相に招致にかかわってほしい」と期待した。

 世界各国が五輪に向けて選手強化に取り組むことに対抗し、自民党のスポーツ立国調査会を通じて強化費増を国に要望してきた。市原専務理事は「これからは全党派に働き掛け、スポーツが国策になるように努力をしていく。スポーツ界も再スタート」と言い切った。

 民主党は政策で地域密着型のスポーツ振興や健康増進に重点を置く。日本体協の役割と似ており、岡崎助一専務理事は「ありがたいこと」と話し、スポーツ施策で「従前通りに振興と競技力向上のバランスが取れた支援」を求めた。同協会会長を務める自民党の森喜朗元首相には、民主党との「パイプ役を果たしていただけると思う」と話した。(共同)