多くのトップスケーターを輩出してきた名古屋に、また1人有望な選手が現れた。先のフィギュアスケートのジュニアグランプリ(GP)シリーズ、ポーランド大会で圧勝した村上佳菜子(グランプリ東海ク)は、アルベールビル冬季五輪銀メダルの伊藤みどりさんや、浅田真央(中京大)を指導した名伯楽、山田満知子コーチが期待を掛ける14歳だ。

 ジュニアGPシリーズで初優勝した昨季は、同シリーズの上位選手によるジュニアGPファイナルで4位。全日本選手権も7位と大健闘した。「試合に慣れてきた。今は『できる』って気がする」。大舞台を踏んだ昨年の経験が、さらなる成長につながっている。

 山田コーチは「真央のように衝撃的な印象はないが、着実に伸びている。真央が浮世離れした天使なら、佳菜子は誰の身近にでもいるような明るく、かわいい子」と魅力を語る。伸び伸びとした滑りと氷上に咲く笑顔は、海外の審判や観客の心もつかんでいる。

 身長は1年で4センチほど伸びて152センチになり「大きく表現できるようになった」と言う。昨季から約2時間増えて1日6~7時間もリンクに立ち、ジャンプが安定してきた。2連続3回転など新技の習得も目指す。

 今季の目標はジュニアGPファイナルの連続出場と世界ジュニア選手権の初出場だ。周囲の期待は高まるが、本人は「将来は五輪出場より、フィギュアの先生になりたい。満知子先生を尊敬しているから」。そんな無欲さも魅力の1つだろう。(共同)