国際オリンピック委員会(IOC)の選手委員選挙で陸上男子ハンマー投げの室伏広治(37=ミズノ)が選挙活動に違反があったとして当選を無効にされた問題で、日本オリンピック委員会(JOC)が日本選手団に配布した日本語訳の投票手順書に投票を呼び掛ける記述があった点もIOCから警告を受けた理由だったことが25日、関係者の話で分かった。

 ロンドン五輪期間中に行われた同選挙で、JOCの支援活動も違反と指摘されていたことは今後の焦点になりそうだ。

 IOCは規定で、選挙活動に際しては許可を得た文書以外の配布やポスターの掲示、寄贈品を禁じている。関係者は「英語が分からない日本選手のために手順書の日本語版を事前に配ったが、紙が見つかり、最初の警告があった」と述べ、選手団から回収して数百枚をIOCに提出したという。

 今回の問題でJOCと室伏は自身の名前が入ったグッズの配布やポスター掲示のほか、選挙活動を禁じられた選手村の食堂での行動でも問題を指摘されている。JOCはIOCと見解の相違があるとして事実関係の再調査を要望。回答を待って、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴するかどうかを今月末までに判断する。

 選手委員はIOC委員にも就任するため、室伏が当選すれば2020年東京五輪招致の顔になると期待されていた。