2020年東京五輪招致委員会で会長を務める東京都の石原慎太郎知事が辞職を表明した25日、スポーツ界には驚きの声が上がる一方、招致への影響を否定する声が相次いだ。中国などに対して強硬路線の石原氏が去り、招致にはむしろ追い風との見方もある。

 招致委理事長で国際オリンピック委員会(IOC)委員でもある竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長は「まさか辞任はしないだろうというのが正直な気持ちだった」と心境を明かし、「大きな影響が出るとは思っていない」と強調した。

 求心力のあるトップが不在となり五輪招致が推進力を失う懸念もあるが、JOCの市原則之専務理事は「招致は国と国の戦いで、個人に頼ったら駄目。そのために今回はオールジャパン態勢にした」と述べた。

 開催都市を選ぶ投票では、アジアのIOC委員の支持が欠かせない。日中友好協会の村岡久平理事長は「アジアやアフリカに影響力がある中国との関係を考えれば決してマイナスでないと思う。日中関係を修復できる時間もある」と分析した。

 石原氏は後継候補に猪瀬直樹副知事を指名したが、五輪に慎重派の新知事が就任すれば招致が宙に浮く可能性はある。竹田会長は「次の知事にも五輪の意義や必然性をしっかり話し、活動を継続していく」と話した。