<アメリカンフットボール・Xボウル:鹿島21-14富士通>◇21日◇東京ドーム

 鹿島が逆転で12年ぶり2度目の社会人王者に輝いた。富士通にランTDでリードされると、後半から負傷を抱えるQB尾崎陽介(29)を投入。51ヤードパスから反撃のFGに結び付けた。さらにFGで1点差として流れを引き寄せ、RB丸田泰裕(25)のTDランで逆転。第4Qには尾崎が79ヤードのTDパスで突き放し、21-14で勝利した。鹿島は来年1月3日に東京ドームでのライスボウル日本選手権で、日本一をかけて学生王者関大と対戦する。

 森ヘッドコーチが胴上げされる横で、王座に導いた尾崎は松葉づえをついていた。準決勝で右かかとを痛めた。2日前にやっと練習できたほどで、今季初めて先発を新人山城に譲った。試合前とハーフタイムに痛み止めを注射。「今は(痛み止めの効果が)切れて痛いけど、ホッとしてます」と笑みを見せた。

 富士通に最初のシリーズで先制された。鹿島はギャンブル失敗にインターセプトも喫した。第1ステージではサヨナラ負けした相手にリードされたが、森ヘッドは「勝機はある。1回負けているし、攻めていこう」と後半開始から尾崎を投入。これで流れを変えた。

 いきなりWR前田へ51ヤードパスを決める。ここはFGに終わったが、連続FGで1点差に詰め寄る。さらに尾崎がWRに入るなど多彩な隊形を駆使し、丸田のランで逆転。さらに前田への79ヤードTDパスでトドメを差した。「痛み止めが切れる前に勝負したかった」と、投げたパスは5回も価値ある3回を決めてみせた。

 関学大時代の01年度にライスボウルも制して日本一となったが、鹿島では06、08年と2度社会人決勝で敗れていた。山城も加入し「3度目の正直で今年が最後とやってきた。次も膨大な準備と分析で」。2度目の日本一へ、年末も病院通いが続く。【河合香】