【トリノ(イタリア)23日=広重竜太郎】バンクーバー五輪フィギュアスケート女子5位の安藤美姫(22=トヨタ自動車)が、4年前のトラウマを払しょくする。世界選手権はこの日からアイスダンス規定などが行われ開幕。安藤は22日、トリノ五輪と同会場のリンクで調整を行った。15位に終わった同五輪の苦い思いから、この日は不安感にも襲われたが、26日からのショートプログラム(SP)で成長の跡を見せる。

 安藤は本番会場に入る前、トリノ五輪の記憶が鮮明によみがえった。「4年前の印象が強い。ここに来るまで精神的な心配があった。(移動の)バスの中で変な緊張があった」。だが公式練習が始まると、無心になった。バンクーバー五輪で決められなかった連続3回転ジャンプを中心に練習。6回中3回の成功で「あまりよくなかった」と決して絶好調ではないが「やっているときは(トリノ五輪のことは)頭になかった」と平常心を取り戻せたことは収穫だった。

 4年前は未熟だった。4回転ジャンプに固執し、果敢に挑戦したが、15位に終わった。帰国後に非難の声も耳に入り、故障なども重なり、引退も考えた。そんな苦い経験を強いられたのが、トリノの地だった。

 だが苦境を成長のきっかけとして、再びトリノに帰ってきた。「トリノの(会場などの)スタッフの方も私のことを覚えていた。スケートは4年前よりもだいぶ上手になった。世界中の人に、精神的にも成長したなと思われるように頑張りたい」。メダルを期待されながら5位に終わったバンクーバー五輪はスピード感が足りなかったと復習もした。この4年間の成長の跡を今大会で刻み付けて、メダルを手に入れる。