真央が大ピンチだ!

 日本スケート連盟は8日、愛知・豊田市にある中京大オーロラアリーナで、特別強化選手らの合宿を公開。3月のフィギュア世界選手権を制した浅田真央(19=中京大)は、武器のトリプルアクセル(3回転半)を含む約30回のジャンプで、成功はわずか8回だった。6月から、新しく長久保裕ジャンプコーチ(63)の指導で、基礎からやり直している段階で、10月のシーズン開幕に得意のジャンプが間に合わない可能性が出てきた。

 跳べども跳べども、うまくいかない。浅田が、何度ももどかしそうな表情を浮かべた。「まだ自分のものになっていない。これからだと思う」。長久保コーチも「最初よりはできてきたけど、現状では(プログラムに)入れられない」と厳しい現状に困惑気味だ。

 浅田は昨季まで、ルッツとフリップのジャンプの跳び方で悩んだ。得意の3回転半も一時は崩れた。五輪が終わって一区切りしたことで「もう1度、一からジャンプをやり直そうと思った」。トリノ五輪金の荒川静香や日本人2人目の4回転ジャンパー、本田武史らを育てるなどジャンプ指導には定評のある長久保氏に指導を請うた。1回転から練習を始め、現在はその途中の段階だという。

 ただし、すでに8月。通常なら、曲をかけて新しいプログラムを滑り込んでいる時期だ。しかし、浅田は「ジャンプが完成しないと、それはできない」。10月2日にはシーズン開幕戦のジャパンオープン(埼玉)が控える。長久保コーチも「8月後半には試したいが、今のままでは無理」と話した。

 今季のフリー「愛の夢」では、今年のバンクーバー五輪で金妍児が出した150・06点の世界最高を上回る演技構成を練っている。連続3回転ジャンプを2つ入れ、3回転半も2つ。1つは基礎点が1・1倍になる後半に持ってくる。ただ、現状では「とても間に合う状態じゃない」(長久保コーチ)。

 全体を指導するメーンコーチも、関係者によると「10月に間に合うかどうか」という。それでも、これまで何度もスランプを克服してきたのが、天才たるゆえんだ。浅田は「最終的に来年の世界選手権(3月・東京)に間に合えば」と自らに言い聞かせていた。