柔道女子48キロ級前世界女王の福見友子(25=了徳寺学園職)が、自らの被災も乗り越えて連覇を目指す。世界選手権(8月、パリ)の代表選考会を兼ねた全日本選抜体重別選手権は3日に福岡国際センターで開幕する。同市内で会見が行われ、練習拠点の筑波大が東日本大震災で一時閉鎖され、練習場探しに奔走した福見は「いつもとは違う環境での調整だったが、自分なりにいい刺激になっている」と平然と答えた。

 茨城県つくば市の自宅は、09年世界選手権で優勝した記念に購入した42インチの液晶テレビが落下し、液晶画面が壊れるなど被害を受けた。さらに壁が崩落した筑波大は使えず、コマツやライバル浅見らがいる山梨学院大を転々とする生活だった。自宅に帰れば「余震が怖いので、音だけでも」と、壊れたテレビを付けっぱなしにしているという。それでも、東北の人に比べればという思いが強い。

 「テレビが壊れたのは『まだまだ甘いぞ』ということ。土浦の実家も大丈夫でしたし、本当の被災者の方に申し訳ない。自分に何ができるか考えて、行き着くところは柔道しかなかった」。自分のやるべきことを見つめていた。【今村健人】