<テニス:全仏オープン>◇初日◇22日◇パリ・ローランギャロス

 【パリ=吉松忠弘】世界60位の錦織圭(21=ソニー)がアジア勢対決を制し、2年連続で初戦を突破した。同56位で昨年のウィンブルドン8強の盧彦勲(27=台湾)に6-1、6-3、6-4の2時間25分でストレート勝ちした。前哨戦のイタリア国際(ローマ)で発症した腹痛も完治し、全仏仕様ユニクロ新ウエアのデビュー戦を白星で飾った。次戦は同34位のスタホフスキー(25=ウクライナ)と対戦する。

 最後は盧がダブルフォールトで力尽きた。勝利の瞬間、錦織は右手でガッツポーズを繰り出した。「意外とテニスは良くて、フィーリングも良かった」。スタートから多くの回転を駆使し、盧のリズムを崩した。最終ゲームでは今大会初のジャンピングショット「エア・ケイ」も飛びだし、4大大会でのアジア勢対決に快勝した。

 契約するユニクロが今大会用に開発した新ウエアで戦った。「フランスで応援してもらうため」と、これまでの赤とは違い、トリコロールブルーのラインを配した。全仏の赤土はラリーが多く、試合時間が長いため数グラムの単位で軽量化。素早い動きも健在だった。

 ローマで腹痛を起こし緊急帰国。急性の胃けいれんで「一時は全仏は出られないと思った」。しかし、日本での治療で完治。大好きな焼き肉などを食べてリフレッシュした。都内の味の素NTCの全仏と同じコートは、予約が入って使えなかったが、練習不足をものともしなかった。

 次戦は未知のスタホフスキーが相手。この日、第2セット後半から「体力的に落ちた」ことで、少し競り合った。しかし、次戦まで少なくとも2日間あるため問題ない。もし勝てば、74年坂井利郎以来37年ぶりに戦後最高成績に並ぶ。再び歴史を塗り替える。