<アマチュアボクシング:全日本女子選手権兼ロンドン五輪予選代表派遣選手選考会>◇2日目◇9日◇広島市中区スポーツセンター◇フライ級準々決勝

 実力派の「男前ボクサー」が圧勝発進した。ロンドン五輪種目のフライ級で、10年広州アジア大会銅メダリストの新本亜也(25=IBA)が1回56秒、RSCで山路藍(ゴールドジム)を下して4強進出した。俳優成宮寛貴似のロンドン金メダル候補が、優勝すれば選出確実な五輪選考会の世界選手権(5月、中国)へ向けて順当なスタートを切った。

 ロンドンへの道は秒殺から始まった。新本の軽いフットワークと速い左ジャブに翻弄(ほんろう)された山路は左肩を脱臼した。わずか56秒で4強入り。試合後は物足りないとばかりにスパーリングと縄跳びで汗を流した。「1歩目を踏み出せた」。大きな声援が飛び、大きな「新本亜也

 NO・1じゃ」の横断幕が掛かる地元で力を見せつけた。

 人気俳優の成宮寛貴に似ていると言われる。「そっち(美男子)系が多いです。女性として…まあ、美形ということでいいかな」。ビジュアルだけでなく実力もお墨付き。広州アジア大会で銅メダル獲得、昨年のアジア杯決勝では敗れはしたが、世界選手権2連覇中のレン(中国)に2点差の接戦を演じた。

 牛丼チェーン「すき家」の深夜バイトも辞め、今は母校の広陵で後輩と一緒に練習するなど五輪へ集中する。「いい意味でのプレッシャーはあるし、五輪の金メダルにつなげたい」と端正な顔を引き締めた。【近間康隆】

 ◆新本亜也(しんもと・あや)1986年(昭61)12月10日、広島市生まれ。広陵高からボクシングを始め平成国際大4年の08年フライ級で全日本選手権初優勝。10年に同選手権バンタム級を制す。同年アジア大会フライ級3位。家族は両親と姉。身長158センチ。血液型AB。