<テニス:全米オープン>◇最終日◇10日◇ニューヨーク・ナショナルテニスセンター

 男子シングルス決勝はロンドン五輪金メダルで第3シードのアンディ・マリー(25=英国)が、2連覇を狙った第2シードのノバク・ジョコビッチ(25=セルビア)を7-6、7-5、2-6、3-6、6-2で破り、4大大会初優勝を果たした。同種目で英国勢の4大大会制覇は1936年の全米王者フレッド・ペリー以来76年ぶり。5度目の4大大会決勝進出のA・マリーは全米の決勝で史上最長記録に並ぶ4時間54分の接戦を制し、優勝賞金190万ドル(約1億5200万円)を獲得した。同種目で五輪と全米の連勝は史上初。ジョコビッチは1月の全豪に続く4大大会通算6勝目はならなかった。

 ジョコビッチのリターンがオーバーすると、しゃがみ込み、涙をぬぐった。A・マリーが5時間近い激戦を制し、悲願の4大大会制覇を成し遂げた。英国勢76年ぶりのタイトル奪取。「こんな長時間の試合を経験したことはない。よく勝てたなと思う」。2セットを先取しながら追い付かれた。最終セットで第1ゲームをブレークして3ゲームを連取。4-2からの第7ゲームで再びブレークに成功。最多で54本に及ぶ壮絶な打ち合いで粘り勝った。

 同い年の25歳で誕生日が7日違いのジョコビッチとはジュニア時代からしのぎを削ってきた。4大大会では2戦2敗だったが、五輪の準決勝で勝って自信を付けた。「英国選手は緊張して勝てないというイメージを取り除けた」。史上初めて五輪、全米の連勝を成し遂げ、フェデラー(スイス)ナダル(スペイン)ジョコビッチとの4強時代到来を告げた。

 ◆アンディ・マリー

 1987年5月15日、スコットランド・ダンブレーン生まれ。3歳でテニスを始め、04年全米オープンジュニアで優勝。05年にプロ転向を果たし、08年全米で4大大会初の決勝に進出した。今年のロンドン五輪決勝でフェデラーを破り金メダルを獲得した。ツアー通算24勝。コーチは、今年から元世界1位のレンドル。190センチ、84キロ。自己最高世界ランクは2位。