<フィギュアスケート:全日本選手権>◇23日◇札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ

 ショートプログラムで5位と出遅れた村上佳菜子(18=中京大中京高)が、フリーで126・41点をマーク、合計183・67点で自己最高の2位となった。アクシデントのあった前日から気持ちを切り替えて臨み、フリーの得点は国内外を通じて自己最高点だった。

 ずっと、笑っていた。右手を振り下ろしてポーズを決めた瞬間、村上の表情が瞬く間に崩れた。ガッツポーズを繰り返し、山田満知子コーチときつく抱き合った。5度目の全日本選手権で自己最高の2位。SP5位から上り詰めて「すごくうれしい。こんなにうれしいのはシニアデビューのとき以来。久々に喜べました」と笑顔を振りまいた。

 演技直前、左ほおに虫が止まるアクシデントに惑わされたSP。大の虫嫌いで、演技中もリンクにいる姿が見えて動揺した。だが、一夜明けたこの日朝、山田コーチに言われた。「日刊スポーツに大きな写真で載っているよ。話題は佳菜子が一番だね」。笑ってスッキリしたフリーでは、中盤のアクセルが1回転半になった以外はほぼ完璧だった。126・41点は参考記録ながら自己最高点。「最後まで、練習でもないくらい、すごく落ち着いて滑れた」と自画自賛した。

 心強い姿が力になった。山田コーチは頸椎(けいつい)ヘルニアのため今季の国際大会に同行しなかった。インターネット電話のスカイプを通じて会話はしたが、やはり違った。今大会は「国内だから」と、無理をして飛行機に乗ってくれた。「先生が見守ってくれていると感じて、期待に応えたいと頑張れました」。男子は羽生が初優勝。女子でも、同じ18歳が躍動した。【今村健人】