柔道界の暴力とハラスメント問題が、水泳界にも及んだ。日本水泳連盟は15日、日本代表8選手に実施した独自の聞き取り調査で、2人が「過去に見たり、聞いたりしたことがある」と回答したと発表した。8選手は競泳、水球、シンクロナイズドスイミング、飛び込みの代表主将とリーダー格の各2選手で、10、11日に調査された。2選手の種目は明かされていない。

 2選手が答えたのは、どちらも代表ではなく、所属チームでの事例。「ジュニアの時の試合で、頬を殴られている選手を見た」「15年前に聞いた」という内容だった。ともに古い事例で正確には記憶しておらず、指導者の特定など詳細な調査は断念したという。日本代表チームの活動では、全員が「ない」と答えた。

 日本水連の登録競技者は11万5000人以上。泉正文専務理事は「11万人を超す現場にはこうした行為があることを認識した。暴力は絶対に駄目だということを言い続けていかないと」と話した。柔道で問題が発覚した時には「格闘技だから」という論調もあった。しかし、水球以外は身体接触のない水泳界で事例が見つかったのは衝撃的。日本オリンピック委員会(JOC)では各競技のコーチと選手を対象にアンケートを実施しているが、今後も事例が出る可能性はある。