<テニス:全仏オープン>◇第2日◇26日◇パリ・ローランギャロス

 【パリ=吉松忠弘】現行制度で、日本男子史上初めてトップ10入りした世界ランク10位の錦織圭(24=日清食品)が初戦で敗れた。股関節と左ふくらはぎのケガを抱えながら、強行出場したが、同59位のクリザン(スロバキア)に6-7、1-6、2-6のストレート負けを喫した。錦織の全仏1回戦負けは初めてで、9日発表の最新世界ランクでトップ10から陥落することが濃厚となった。

 つらく、残念の中にも、少しだけホッとした表情を見せた。痛みを抱えたまま、錦織は第2セット以降、何もできずにクリザンに敗れた。「もちろん、敗戦は悲しい。ただ、とりあえず試合をすべてできて良かった」。ケガが悪化する恐怖との闘いは、錦織からすべてを奪った。

 何もかもが悪い方向に出た。雨中の決戦で水分を含んだ球は重くなり、手負いの錦織には厳しかった。コートも緩くなり「動くのに不安があった。1歩目が遅れて、いい位置でボールをとらえられなかった」。本格的な練習は22日にパリ入りしてから。練習不足もあり、自信も持てなかった。

 勝敗だけを考えれば、第1セットがすべてだった。5-3とリードし自分のサーブ。しかし、サーブのジャンプ時に痛みが出たため、リズムをつかめず、2本のダブルフォールトでゲームを落とした。追いつかれると、そのまま反撃の力は残っていなかった。

 たぐいまれなる才能を持つ錦織を悩ませる好成績とケガの連鎖。しかし「これが僕のテニス人生」と、付き合っていく覚悟はある。「まだ決めていない」と言うが、次戦はウィンブルドン前哨戦で6月9日開幕のドイツの大会。そして同23日からのウィンブルドンまでには、まだ4週間ある。