社会人アメリカンフットボールのXリーグは、11月1日からセカンドステージ(2S)に突入。ファーストステージ(1S)東中西3地区の各上位3チームによるスーパー9リーグと、同下位3チームによるバトル9リーグで熱戦を展開する。1S地区優勝3チームが期待されるが、中でも注目は西地区を初制覇したエレコム神戸。勢いに乗って準決勝ファイナルステージ(FS=11月30日、横浜スタジアム、キンチョウスタジアム)はおろか、決勝戦ジャパンXボウル(JXB=12月15日、東京ドーム)に進出することも夢ではない。

 エレコム神戸が、2Sで台風の目になる。今年から就任した狩野良太ヘッドコーチ(HC、30)は「関東のチームにしっかり挑戦する。ファイナルステージに絶対いく」と気合十分だ。

 ビッグサプライズを起こした。西地区で「万年4位」だったが、開幕からパナソニック、アサヒ飲料の「2強」を連破。創部39年のクラブチームが5戦全勝で初V。96年のXリーグ発足後「2強」以外の優勝は初めてだった。快進撃の波に乗って関東の壁に挑む。

 攻撃は2枚看板のQBイノケ・フナキ(31=ハワイ大)と糟谷啓二郎(25=関学大)が引っ張る。守備陣は新人のLB香山裕俊(24=関学大)を中心に、大学日本代表で守備コーチを務めた武田真一氏らが戦術を練る。チームに現役の日本代表はいないが、急成長中のチームには勢いがある。

 狩野HCは「去年まではフットボール好きが土、日に集まっているだけ。草フットボールチームだった」。勝つ集団に変えるため、チームの約半数にあたる26人もの新人を加入させ、コーチ陣も刷新した。生まれ変わったエレコム神戸が2Sでも旋風を巻き起こす。

 中地区VのLIXIL(リクシル)からも目が離せない。昨季までの鹿島から新生。10月19日の同地区全勝対決では、JXBとライスボウルを4連覇中の大本命オービックを破った。QB加藤翔平(26=関学大)-WR前田直輝(28=立命大)の2TDパス、K青木大介(30=専大)の3FGで23点を奪取。第4Qにはゴール目前まで攻め込まれながら、守備陣の圧力で相手ファンブルを誘い、逆転チャンスをつぶした。勝利に貢献の青木は「自分がチームに加わった2010年以降、オービックに勝ったのは初めて。だから本当にうれしい」と笑った。

 開幕のオール三菱戦(8月25日)では、第3Qを終えて14点をリードされた。最後に地力を発揮して3点差で薄氷を踏む勝利。しかし、その後の試合では、森清之HC(50)が言うように「やるごとに少しずつ良くなってきた」。2Sは15分Qでの総力戦となる。森HCは「乗り切れる力をつけたい」と前を向いた。

 東地区を制した富士通は今季、日本一しか眼中にない。しかし、10月20日のノジマ相模原戦は7-0という僅差で、チームに一抹の不安を与えた。第1QにTDを奪うも、その後はOLがいまひとつ機能せず、QBコービー・キャメロン(24=ルイジアナ工科大)がパスインターセプトやサックに遭った。攻め手を欠いた富士通は最後は時間を消費する作戦で逃げ切った。

 藤田智HC(47)は「もうちょっといけると思っていたが、乗り切れなかった。キャメロンはやられて興奮していたが、いい経験になったと思う。1つ1つのプレーをもっときっちりやらなくてはいけない。練習で修正したい」と地区優勝にも、攻撃面では反省しきり。一方、守備陣はNFLレーダースのキャンプにも参加したDLオースティン・フリン(24=アーカンソー大)がこの秋に新加入、まさに鉄壁となった。ノジマ相模原戦ではQBサック3本を奪取。2Sでも大暴れしてくれそうだ。