20年東京五輪をきっかけに、五輪は新しい時代へ大きくカジを切る。昨年9月に就任したIOCのトーマス・バッハ会長(60)は8日の総会後「五輪改革へ最初のヤマを越えた」と満足そうに話した。「五輪改革」を提唱し「アジェンダ2020」を作成。40項目にわたるプランが承認されたことで「バッハ改革」は大きく進んだことになる。

 開催都市の追加種目提案権以外にも、20年東京五輪にも関係する多くの改革が決まった。主にサッカーだけに限られていた開催都市以外の「分散開催」が認められ、他国との「共催」まで条件付きながら可能になった。これまでは選手の負担を軽減するため重視されてきた「コンパクトさ」からは大きな転換だ。

 建設費の高騰で会場計画の見直しを進める東京にとって改革案が認められたことは大きい。すでに一部の計画が見直されているが、さらに既存施設の利用など現実的でコストを削減した開催計画が作られるはず。そり競技の国外開催が伝えられる18年平昌(ピョンチャン)冬季大会や、26年冬季大会の招致に名乗りをあげた札幌にとっても追い風になりそうだ。

 バッハ会長は「招致プロセスと実施競技の見直しは大きなテーマだった。まずは第1歩を踏み出した」と話した。東京大会から始まる新しい五輪の形。今回の改革がどう形になるか、東京五輪は世界中から注目される。野球・ソフトボールの実施と引き換えに東京は大きな責任も背負うことになりそうだ。

 ◆中長期改革案「五輪アジェンダ2020」

 昨年9月に就任したバッハ会長が「五輪の将来の設計図」と位置付けるもので、開催都市の利益を重視し、五輪の魅力や創造性を高めることを目的としている。IOCは14部門の作業部会を設置して意見を集約し、約1年の議論を重ねて改革案をまとめた。

 ◆五輪の競技と種目

 五輪の競技とは陸上、水泳などのスポーツの種類を意味し、種目は陸上の男子100メートルや女子マラソンなど、メダルを争う区分ごとを指す。16年リオデジャネイロ五輪ではラグビー7人制とゴルフを加えた28競技、306種目が実施される予定。競技と種目の間には「種別」という位置づけもある。水泳の場合には競泳、シンクロナイズドスイミング、飛び込み、水球の4種別があり、新体操、トランポリンは体操の1種別として区分される。