<高校ラグビー:佐賀工34-14札幌山の手>◇1回戦◇28日◇花園

 北海道勢では最多タイ、15大会連続出場の札幌山の手(南北海道)は、33大会連続出場の伝統校に力負けした。佐賀工(佐賀)に敗れ、初戦で姿を消した。高校日本代表候補3人を擁して上位進出を狙っていたが、FW平均体重が10キロ近く重い佐賀工の圧力に阻まれ、持ち味を出すことなく花園を去ることになった。

 札幌山の手15度目の花園は、あっけなく幕を閉じた。試合終了間際の後半29分、佐賀工に6つ目のトライを奪われ、14-34。挽回不可能な点差にも「まだまだ」「これから」と声をかけあったが、直後にノーサイドの笛が鳴り響いた。

 FW戦の劣勢が全てだった。先発したFW平均体重は、佐賀工94・1キロに対して85・3キロ。6月から週2回、駅伝のクラブチームの練習に参加している相手は、重い上に走った。集散で後手を踏み、スクラム、モールで押し込まれる。奪われた6トライは全てFW陣によるもので、スタミナでも佐賀工が上だった。

 それでも、意地は見せた。50メートル5秒8の高校日本代表候補FBモリキ・リード(2年)が徹底マークされたが、WTB飛騨野雄輝(2年)が穴を埋めるように後半6分、25分にトライ。だが、追う展開は焦りも呼ぶ。後半開始早々のトライがスローフォワードで認められないなど、反則数は佐賀工5に対して9。涙する選手の姿に佐藤幹夫監督(53)も「肝心なところでとどめを刺せなかったですね」と肩を落とした。

 北海道にライバルはおらず、公式戦で劣勢を経験する機会は少ない。追いかける側の心理的な強さが足りない。佐藤監督は「体づくりからやっていかないと。厳しいプレッシャーの中で正確なプレーができる。そこに尽きる」と言った。高校日本代表候補は、佐賀工1人に対して3人。個の力は見劣りしない。チーム力、完成度を高めるしかない。21大会連続初戦突破の佐賀工は悔しいが、お手本となる。

 高校日本代表候補のNO8舟橋諒将、CTB内海圭二ら、3年が抜ける穴は大きい。飛騨野は「もっと一緒に試合がしたかった」と泣いた。この悔しさは、決して忘れない。花園通算10勝目は来季、道勢最多16大会連続出場時につかんでみせる。【保坂果那】