<大相撲春場所>◇千秋楽◇23日◇大阪・ボディメーカーコロシアム

 大関稀勢の里(27=田子ノ浦)が綱とりで鶴竜に先を越された。「日本出身横綱」を期待され続けてきたが、白鵬、日馬富士に続く3人目の横綱は、またもモンゴル出身力士。ふがいなさを一番感じていたのは本人だった。

 「自分の責任です。皆さんが思っている通り。やっぱり悔しいですよ。ただ、もっとやらなきゃいけない、期待に応えないと」

 昨年の名古屋場所と、今年の初場所。2度の綱とりは、いずれも前半戦でリズムを崩して失敗。重圧に負け続けた。今場所13日目、1敗鶴竜の勢いに「完全に負けた」。綱とり阻止の機会を逸した。その一番前後に両横綱が鶴竜に一方的に敗れ、「鶴竜初優勝」の機運が一気に高まった。

 「(横綱が)3人だよね。これまで以上に倒してほしいと、自分にかけられる期待は大きくなる」

 先場所は14日目に右足親指を痛め、千秋楽を休場して負け越し。今場所は初のかど番だった。「ケガの功名だったと言えるようにしたい」と臨んだ春は、遠藤に苦杯をなめるなどかど番脱出がやっと。“3強”に3連敗し、優勝争いからは蚊帳の外だった。

 この日の朝稽古後「いい経験、いろいろな勉強をさせてもらった。(来場所に)つなげるためには勝って終わりたい」と話した。だが、豪栄道に立ち合いから右上手を奪われて寄り倒された。9勝6敗。取組後には「いい場所ではなかった。いろいろ考えないと」。下唇をつきだし、顔をしかめて悔しさをにじませた。

 「自分の責任」と自分自身で重圧をかけた。「もう裏切らないで」がファンの願いだ。【鎌田直秀】