大相撲初場所(来年1月11日初日、東京・両国国技館)の横綱審議委員会による稽古総見が26日、両国国技館内の相撲教習所で行われたが、横綱白鵬(29=宮城野)は相撲を取らなかった。足の腫れものを理由にぶつかり稽古で胸を出しただけ。稽古総見では異例の、相撲なしで終えた。横綱鶴竜(29)大関琴奨菊(30)も発熱で休み、寂しい上位陣の稽古となった。

 横綱を審議する「横審」の総見で、白鵬はただ、顔を見せただけだった。横綱日馬富士と大関稀勢の里、豪栄道が激しい稽古を繰り広げる脇で、黙々と準備運動だけをこなした。土俵の中に足を踏み入れたのは、豪栄道と高安に胸を出したときだけ。結局、1番も取らず、異例ともいえる「相撲なし」で総見を終えた。

 北の湖理事長(元横綱)によると「足に腫れものができた」ため、前日から稽古しないことを伝えていたという。ただ、横審の委員の前をすり足で往復し、影響は感じさせなかった。

 9月の稽古総見では、横綱の稽古予定時刻の午前10時を約5分過ぎて登場。理事長に稽古内容を怒られはしたが、相撲は取った。だが、この日は10時12分に現れて稽古なしと、輪をかけてマイペースに。理事長は「30歳近いからマイペースもいいが、もう少し(力を)長く維持したいのなら、どこかでやらないとダメだ」と再び苦言を呈した。

 「相撲なし」が珍しいことを問われた横綱は「そうですか?

 年末ですからね」と冗談を言いつつ「まだ体が出来上がっていないから」と説明した。年末年始をはさむため、初場所の番付発表は毎年早めに行われる。確かに白鵬は、ほかの場所ではまだ、本格的な稽古を始めていない時期でもある。単独史上最多33度目の優勝が懸かる初場所へ、その調整ペースは横審の前でも崩さなかった。「まだまだですよ。31日(大みそか)までに、バーッと体をつくっていこうかな」と悠然と話した。【今村健人】

 ◆白鵬の秋場所前の稽古総見

 開始予定の午前10時に約5分遅れて到着。新小結常幸龍と3番取ったところで、北の湖理事長はほかの若手力士にも行くよう指示したが、手を挙げる若手に見向きもせず常幸龍とだけ8番取った。ぶつかり稽古では高安、逸ノ城に胸を出したが、理事長は「あれはウオームアップ。番数も少ないし、同じ相手とばかりじゃ」と酷評。白鵬は「常幸龍とはあまり稽古することがなかったので」と説明し、マイペースを崩さなかった。本場所では14勝1敗で横綱千代の富士に並ぶ31度目の優勝を果たした。