5回裏日本ハム無死一、二塁、左前適時打を放つ渡辺(撮影・黒川智章)
5回裏日本ハム無死一、二塁、左前適時打を放つ渡辺(撮影・黒川智章)

日本ハム打線の中では渡辺の存在が大きい。この日で10試合連続安打。まだ本調子には見えないが、安打が続いている理由は「反対方向への意識」だ。

初回無死一、三塁で3点目を生んだ二併も、併殺打OKの状況で打撃自体に問題はない。3回も外角の難しいツーシームを右前打。そして極めつきは5回の左前適時打。ソフトバンク二保がきっちり投げきった低めのフォークを、ヒットゾーンに飛ばした。反対方向を意識することの最大のメリットは変化球を拾えること。打席での意識が結果へとつながっている。

高卒2年目・野村には、スケールの大きさを感じている。トップの位置から最短でバットが出てくるので、しっかりとボールを仕留めることができる。4回の決勝本塁打は、甘いチェンジアップ。体の回転を使って打つことができていた。

いまはレギュラーを取るために必死で、ひとつひとつ階段を上っている最中。それでも打席内での雰囲気は「やってくれそう」という期待感がある。これは一流選手だけが持っているもの。1打席目で打つと固め打ちできることも魅力で、彼がマルチ安打を記録した3試合はすべてチームが勝っている。勝利に結び付ける打撃ができることも、スケールを感じる要因だ。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)

4回裏日本ハム無死、左越え本塁打を放つ野村(撮影・黒川智章)
4回裏日本ハム無死、左越え本塁打を放つ野村(撮影・黒川智章)