初回の中日大野雄大投手(32)との対決は死球に終わったが、3回、福を相手にした打席に注目していた。阪神佐藤輝明内野手(21=近大)は3球目に内角高めの直球に空振り。この後、左腕の投球にどんな対応を見せるのか。続く外角ストレートをファウルし、ボール球の外角スライダーには反応せずに、しっかりと見逃した。この試合では相手投手がいいコースを突いたので、ヒットは出なかったが、追い込まれてからでも対処できていた。大崩れしないところを見せてくれた。

前の試合では左翼で使ったが、佐藤輝は三塁で固定すべきですよ。20年に1人の逸材。ここまでの実戦でも、それだけの力は見せてきた。大学でも三塁を守ってきたし、外野をやらせる必要はない。いろいろと試すというのは、能力の分からない選手に対してやること。4回の平田のゴロも藤浪が果敢に前に出てきたが、佐藤輝が積極的に声を出して、さばいた。遊撃、二塁はクールに全体を見渡すが、三塁というポジションは長嶋さん、掛布のようにチーム全体を盛り上げる係。佐藤輝にはそうなれる雰囲気がプンプンと漂っている。大山は一塁や外野など他のポジションもこなせる。これだけの能力がある新人をつぶすわけにはいかない。監督は決断しなければならない。それだけの権限を与えられているわけですから。

先発の青柳にも触れたい。2回に阿部に右前打を打たれた後に、課題がある。続く高橋周に対し、カウントを悪くして、左前に流し打たれた。いい投手だが、1本打たれると、すぐにコースを狙いだす。特に低め低めへの意識が強くなる。今はローボールヒッターばかりで、低めはバットに合わせられる。自分の球威を信じ、ゾーンを広く使わないと。下から投げる投手は高めの球が有効なんです。さらにカーブなど落ちる球があれば、上下を使えるようになる。青柳はコントロールの悪い投手ではない。高めの真っすぐをもっと使うべきだ。(日刊スポーツ評論家)