経験豊富な原監督が率いる巨人に、三浦新監督率いるDeNAが、どんな野球をするのか。独走でセ・リーグを連覇した相手との差をいかに埋めるのか注目した。

勝てるチームと勝てなかったチームの差が、如実に現れた。5回の攻防が象徴的だった。1点を追うDeNAは、先頭の戸柱、柴田の連打で無死一、二塁のチャンス。俊足の1番神里のヒッティングは同感だったが、最低でも走者を進める打撃が求められる場面で、1ボールからの外角速球を左前へ流し、無死満塁とチャンスを広げた。

結果だけを見ればヒットはいい形だが、アウトになっても一、三塁、もしくは二、三塁とチャンスを広げるためには、引っ張った打球がベストの状況。逆方向への素晴らしい打撃を見せても流れは引き込めず、後続が倒れ無得点に終わった。

巨人はその裏、無死一、二塁のチャンスに吉川が左飛。吉川の打撃は反省すべきだが、二走の松原が好走塁で三塁を陥れ、一走の中島も二塁に進んだ。野球はミスが出るスポーツだが、カバーすればいいし、助け合えるチームは勝てる。

レフト桑原の送球も少し中途半端だったが、松原は捕球体勢などから判断したのだろう。事前の準備があったから、いいスタートを切れた。失いそうな流れを大きく引き寄せる最高のプレーで、捕手戸柱の悪送球の間に2点を追加した。

野球は流れのスポーツ。何が何でも走者を進める意識が見えなかったDeNAは絶好機を逃し、先の塁を狙って、ミスを救った巨人は得点を奪った。開幕で対戦する両チーム。本番まで1カ月弱の段階で見えたのは「巨人が勝てる理由」だ。(日刊スポーツ評論家)

巨人対DeNA 5回裏巨人無死一、二塁、左飛を放つ吉川(撮影・横山健太)
巨人対DeNA 5回裏巨人無死一、二塁、左飛を放つ吉川(撮影・横山健太)