巨人戸郷の長所である、多少荒れながら打者を押し込めるボールの強さが出ていた。DeNA宮崎に対して、外から真ん中に入った速球でも、球の力がある分、センターフライで終わった。

少し体を開きながら投げる独特なフォームも持ち味。ボールがややシュート回転するので、右打者の外角よりも内角の方がコントロールはしやすいだろう。宮崎の場面もそうだし、大和に対しても外を狙った速球が少し中に入った。

私なら、この特徴を直すことよりも、長所である内角のボールの質と精度をよりいっそう磨く。打者を踏み込ませないように残像を残し、外寄りのボールを遠く見せれば、多少の失投でも打ち損じが誘える。いいスライダーがあるのだから、余計に内角への速いボールは生命線となる。

昨年の被本塁打のデータでも左打者の4本に対し、右打者は8本。甘くなる分、長打を多く食らったのだろう。高卒3年目、まだまだ大きな伸びしろのある投手。全てを求めるのは無理な話で、考え方を変えてみてはどうだろうか。

もちろん、菅野のように勝ち続けるにはコントロールは重要となる。一方で、コントロールが良くないと打者は怖さを感じ、武器にもなる。投手の基本はアウトローだが、今は持ち味を消さず、長所を伸ばすことを勧める。(日刊スポーツ評論家)

巨人対DeNA 巨人先発の戸郷(撮影・狩俣裕三)
巨人対DeNA 巨人先発の戸郷(撮影・狩俣裕三)